Risk Rating Framework: OWASP Risk Rating Methodology #
OWASP Risk Rating Methodologyは、OWASPが提供する、アプリケーションセキュリティに特化したリスク評価手法です。
本評価手法では、以下のような評価基準で判定しています。
- リスク = 可能性 × 影響(Risk = Likelihood x Impact)
- 可能性
- (脅威エージェントの要因 + 脆弱性の要因) / 2
- 影響
- (技術的要因 + ビジネスへの影響要因) / 2
- 可能性
「リスク(Risk)」は、「可能性」と「影響」を複数の要因に分けて評価され、各要因に基づきスコアを算出し、その平均値で評価を行います。
以下に概要を示します。
「可能性(Likelihood)」は、特定の脆弱性が攻撃者に発見され、悪用される可能性の大きさを指します。
以下の2つの要因についてスコアリングし、合計平均値を可能性の値として利用します。
- 脅威エージェントの要因(Threat Agent Factors)
想定する攻撃者(Threat Agent)による攻撃が成功する可能性を推定します。
- スキルレベル(Skill Level)
- 動機(Motive)
- 機会(Opportunity)
- サイズ(Size)
- 脆弱性の要因(Vulnerability Factors)
対象とする脆弱性について、発見や悪用される可能性を推定します。
- 発見の容易さ(Ease of Discovery)
- 悪用の容易さ(Ease of Exploit)
- 認識(Awareness)
- 侵入検出(Intrusion Detection)
「影響(Impact)」は、攻撃が成功した際に影響がある以下の2種類の影響について想定します。
- 技術的要因(Technical Impact Factors)
アプリケーションや使用するデータ、提供する機能に対する技術的影響を推定します。
- 機密性の喪失(Loss of Confidentiality)
- 整合性の損失(Loss of Integrity)
- 可用性の損失(Loss of Availability)
- 説明責任の喪失(Loss of Accountability)
- ビジネスへの影響要因(Business Imapct Factors)
- 経済的損失(Financial damage)
- 風評被害(Reputation damage)
- コンプライアンス違反(Non-compliance)
- プライバシー侵害(Privacy violation)
これらの値を元に、リスクの重大度をマトリックスから導き出します。
リスク判定の際に注意すべきは、「可能性 x 技術的要因」と「可能性 x ビジネスへの影響」の2軸で検討する必要がある点です。
- 「技術的な影響度は高いが、全体的なビジネスへの影響度は低い」といった場合、ビジネスへの影響度を優先して判断するのが妥当と考えられます。
- 評価している脆弱性のビジネス上の背景を理解することが、リスクを適切に判断する上では非常に重要です。